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2021.05.31 【相続税における名義預金】新潟の税理士がお送りするブログ

【相続税における名義預金】新潟の税理士がお送りするブログ

 

相続税調査において申告漏れの指摘を受けることが多い「名義預金」。

 

この名称に馴染みのない方は多いかと思います。名義預金とは、被相続人(亡くなった人)が自分以外の名義でおこなった預金のことで、相続税においては相続財産として申告に含めなければならない預金となります。
名義が本人ではなく相続税の申告から漏れてしまいがちであるため、税務署による調査においても重点的に調べられる事項となります。

 

国税庁が令和2年12月に発表した「令和元事務年度における相続税の調査等の状況」によると、相続税の調査が実施された事案のうち約85%については、何かしらの財産の申告漏れ等が指摘されています。
また申告漏れ財産の金額の構成も発表されていますが、3分の1は預金の申告漏れである旨が発表されています。(名義預金の申告漏れが多いと思われます)

 

具体例からみる名義預金の基準

 

では名義預金はどのように判断すべきなのでしょうか?

 

判断の基準については、資金の原資(だれのお金が元になっているのか)管理支配者が誰であるのか(預金が誰の元で保管されて、誰の判断で引き出し等の取引がなされるのか)という点で判断されます。

 

具体的に判断してみましょう。

 

具体例1)子供名義の預金の場合

 

1.生前中、父から子へ毎年100万円を子ども名義の預金へ振り込んでいた。
2.子どもは自立し父母とは別居していた。
3.父が病気により他界した。
4.振り込まれた子ども名義の預金は通帳、カード、印鑑等は父の金庫で保管していた。
5.子ども名義の預金であるため、相続税の申告においては父の財産として申告しなか った。

 

この場合、父から子へ100万円を振り込んでいたため、資金の原資については父の預金であることについて異論はないかと思います。
では支配管理者はどうでしょうか?
通帳・カード・印鑑等の保管状況等から、この預金の支配管理者は子ではないと判断されるかと思われます。
したがって、資金の原資は父の預金であり支配管理者も父であることから、名義預金として父の相続税の課税対象として申告漏れが指摘されることになると思われます。

 

具体例2)専業主婦のへそくりの場合

 

それでは専業主婦のへそくりはどのように認定されるのでしょうか?

 

へそくりについては夫から生活費を渡され、その中でうまくやりくりして貯めたものであり、妻が「私が管理している」と主張することはごもっともかと思います。
この点についてはやはり裁判となるケースがあり、判例においては「我が国においては、夫が自己の財産を、自己の扶養する妻名義の預金等の形態で保有するのも珍しいことではないというのが公知の事実であるから、それが妻名義であることの一事をもって妻の所有であると断ずることはできない」旨を示しています。
つまり妻名義だからといって妻の所有ではないと言われています。

 

また仮に生活費でうまくやりくりした分は好きに使ってもいいと夫が言っていたとしても、判例においては、「生活費の余剰分は自由に使ってよいと言われていたとしても、渡された生活費の法的性質は夫婦共同生活の基金であって、余剰を妻名義の預金等としたとしてもその法的性質は失われないと考えられるのであり、このような言辞が直ちに贈与契約を意味してその預金等の全額が妻の特有財産となるものとはいえない」旨を示しております。
つまり好きに使ってもいいよという言葉だけでは贈与契約を意味するものではないという判断をされております。

 

さらに専業主婦の妻が自ら資金の管理をし運用していたとしても、「夫婦間においては、妻が夫の財産について管理及び運用をすることがさほど不自然であるとはいえないことから、これを殊更重視することはできず、妻に帰属するものであったことを示す決定的な要素であるということはできない」旨を示しています。
要するに夫は妻に単に管理運用を代理してやってもらっているだけであるという判断なのでしょう。

 

専業主婦のへそくりに関しては、妻の固有財産である旨の主張をするにはかなりハードルが高いと言わざるを得ません。

 

こっそりとへそくりをしている場合は名義預金として申告することになるかと思います。
ご主人の了解が得られるのであれば、へそくりではなく贈与契約を締結し、現金の贈与を行うことの方が、相続税の名義預金に関する問題は避けられます。

※当ブログの記事は執筆時の法律に従って書かれています。
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