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2021.05.06 【紙の約束手形 2026年めどに利用廃止へ】新潟の税理士がお送りするブログ

【紙の約束手形 2026年めどに利用廃止へ】新潟の税理士がお送りするブログ

 

約束手形について、5年後の2026年をめどに利用を廃止するよう金融業界に対応を求める方針を、経済産業省が決定したそうです。

 

約束手形とは

 

約束手形は、企業間の取引において、代金の支払を先延ばしにする際に利用されます。
支払すべき人(振出人)が、代金を受け取る人(受取人)に対して、所定の期日に決まった金額を支払うことを約束する切手のような紙であり、

  • 通常の支払期日よりも支払日を先延ばしできる
  • 手元に現金がなくても振り出せる

という点が資金繰りの負担を軽減する手段として用いられてきました。

 

今日においても、卸小売、製造、建設業などの業種においては、手形の利用が多く用いられています。
しかしこの約束手形については、いくつかのデメリットもあります。
主なデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

 

約束手形のデメリット

振出人側のデメリット
  • 不渡り(決済不能)を起こしてしまうリスク
    →2回不渡りを起こすと、当座預金が使用できなくなります。

 

受取人側のデメリット
  • 印紙や期日前に現金化した際の割引料の負担
  • 支払スパンが長く、その期間中の利息の支払いもない
  • 貸し倒れるリスクが高い

 

廃止の理由

 

今回の方針を決めた討論会においては、デメリットでも挙げたような受取人側の資金繰りの負担を手形廃止の主たる理由として挙げています。

 

この他にも、ペーパーレス化やデジタル化の促進(現行の約束手形は印刷や保管のコストがかかる)、外国企業との関係(外国企業との取引は銀行振込やクレジット決済が主流である)などが考えられます。

約束手形が廃止になった場合の代替措置

 

電子記録債権(でんさい)

 

約束手形に代わる決済手段としては現金決済(現金振込)への移行を呼び掛けていますが、現金決済に移行できない場合は、電子記録債権という手段があります。

 

でんさいネットが取り扱う電子記録債権(通称:でんさい)であり、手形債権や指名債権(売掛債権など)が抱える問題を克服した、電子的な記録による金銭債権(手形を電子化したようなもの)です。

 

でんさいのメリット
  • ペーパーレス化によるコスト削減
  • 約束手形のときに起こりえた紛失リスクがなくなる
  • 分割が可能(100万円のうち、30万円を支払いに企てるetc)
  • 印紙・取り立て手続きが不要

 

でんさいのデメリット
  • 取引企業両者がでんさいを利用していないと取引不可

 

政府も、約束手形に代わる手段としてでんさいの利用を進めていくよう討論会で述べています。でんさいの利用は、でんさいネットに登録している金融機関にて手続きを行うことで利用可能となります。

 

ファクタリング

売掛金などの指名債権で、決済までの期間が長い、貸倒等のリスクを回避したいという場合には、ファクタリングという選択もあります。
売掛債権を、ファクタリング会社(主に金融機関)に買い取ってもらい、決済日よりも早く現金を受け取れるサービスです。

 

ファクタリングのデメリット
  • 契約の手間がかかる
  • 手数料が比較的高い
  • 取引先からの評価にかかわる
    (売掛債権をファクタリング会社に譲渡するため、債権譲渡をした旨が売掛先に伝わってしまう。)

 

支払側の資金繰りを軽減するために

 

討論会では、代金を受け取る側の負担を強調していますが、実際支払期間が長い約束手形が利用できなくなると、支払側の資金繰りも同様に厳しくなるのが事実です。
その場合の公的支援として、討論会では、日本政策金融公庫による低利融資や債務保証を挙げています。
支援措置を受けるための要件緩和も、併せて検討していくようです。

 

最後に

 

コロナ禍により、日本もデジタル化を促進していかなくてはならないことが明白となりました。
その中で、日本が諸外国と比較してデジタル化・IT化が遅れていることが問題視されています。
今後もさまざまな分野で制度の問題点の顕在化、そしてそれに伴う見直し等が行われてくると思われます。

 

まだ先と思わずに、5年後の手形廃止に向けて、代替手段となる対応を今から考え、取り組んでいくべきではないでしょうか。

※当ブログの記事は執筆時の法律に従って書かれています。
法改正等により記載内容との相違がある場合がございます。
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