【満期保険金の一時所得に関する最高裁判決】
所長の江部です。
先日、養老保険を利用した租税回避事件について、最高裁判決が出ました。
この事件は、満期保険金の一時所得の計算上控除できる保険料の範囲を巡って争われていた事件で、原審の高裁判決を破棄、上告していた国側の処分を認める判決が出されました。
どのような事件かというと、
1. ある法人が、法人を契約者、その役員を被保険者とする養老保険に加入
2. 保険の内容は、死亡保険金の受取人は法人、満期保険金の受取人を役員としていた
(法人税法基本通達9-3-4では、「死亡保険金の受取人:従業員の遺族、満期保険金の受取人:法人」と規定しています)
3. 法人は、その保険料の1/2を保険料として損金算入、1/2を役員への貸付金として処理
→役員の負担分は、実質的に保険料総額の1/2ということ
4. 満期保険金を受け取った役員は、一時所得の計算上、自ら負担した保険料の1/2だけでなく、法人が損金算入した1/2の保険料も控除して申告(つまり保険料総額を控除)
ということでした。
原審の福岡高裁では、所得税法34条2項には、他者が負担した保険料も控除できるかどうかが明確になっていないこと等々、政令・通達の文言を重視して、保険料の全額を控除した納税者の主張を認めていました。
これに対し、最高裁では、所得税法34条の「収入を得るために支出した金額」に該当するためには、収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するとして、法人が保険料として損金算入した分については、役員が満期保険金から控除できないとしました。
ちなみに、平成23年度税制改正で、一時所得の計算上、個人が受け取る満期保険金から控除できる保険料は給与課税が行われたものに限る旨が明確化され、今回の事件のような内容の争いは、この件に関しては生じないようになりました。
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公認会計士・税理士 江部則行














