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2018.10.26 【住宅取得資金の贈与税について – H30年現在】新潟の税理士がお送りするブログ

住宅取得資金の贈与税について - H30年現在

 

自分で住宅を購入する際、両親から資金援助を受ける方も多いと思いますが、贈与税の発生や負担が気になります。
住宅を取得する際の資金では贈与の際に優遇措置についてお話したいと思います。

 

贈与税とは?

その前に贈与税について軽く触れてみましょう。

 

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。
国税庁ホームページ 「No.4402 贈与税がかかる場合」より引用

 

「年間で110万円より多く人からお金をもらったら税金がかかりますよ」ということです。
年間で「110万円より」というのは、贈与税には基礎控除として110万円があるからです。

 

贈与税がかかるのは贈与を受け取った側になりますので、贈与した人が何人いても110万円を超えていれば贈与税は発生します。
つまり、お年玉の総額が110万円を越えてしまったら贈与税を払わなくてはならなくなります。

 

贈与された額から基礎控除の110万円を引き、税率をかけたのち控除額を引いたものが贈与税額となります。
控除額と税率は基礎控除後の課税額によって変動します。

 

参考サイト:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) -国税庁

 

住宅取得資金に係る贈与税とは

しかし、両親から贈与を受けた目的が住宅購入の資金援助となると、先ほどの110万円の基礎控除とは別に、まとまった金額を非課税でもらうことが可能となります。
この制度を「住宅取得資金等の贈与税の非課税」と呼びます。

 

平成27年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)
の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)
を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます。)。」
国税庁ホームページ「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より引用

 

「家を建てたり買ったり改築する際、父母や祖父母から資金の援助をしてもらった時に、限度額まで税金はかけませんよ」という制度です。
家を建てたり買うときのお金に限られるため、ローンの返済にあてることはできないので注意が必要です。
また平成27年から平成33年までの期間限定の制度であることにも注意が必要となります。

 

限度額はいくら?

 

住宅用家屋の新築等の契約日 省エネ住宅 左記以外の住宅
2016年1/1-2020年3/31 1200万円 700万円
2020年4/1-2021年3/31 1000万円 500万円
2021年4/1-2021年12/31 800万円 300万円

 

表は非課税となる贈与税の限度額を表しています。
この限度額に、贈与税の基礎控除を足した額が非課税限度額となります。

 

例:2018年9月現在の省エネ住宅の限度額1,200万円 + 110万円 = 1,310万円までは贈与税が発生しない

 

「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。

 

省エネ等基準
  1. 断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること
  3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること

 

また、消費税が10%に増額された場合限度額も異なります。

住宅用家屋の新築等の契約日 省エネ住宅 左記以外の住宅
2019年4/1-2020年3/31 3000万円 2500万円
2020年4/1-2021年3/31 1500万円 1000万円
2021年4/1-2021年12/31 1200万円 700万円

契約締結日が遅くなるほど限度額が下がります。

 

制度の条件は?

この制度を利用するための条件がありますので見てみましょう。

  • 贈与を受けた年の1/1において、20歳以上であること
  • 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下であること
  • 贈与者が直系卑属(父母、祖父母)であること
  • 翌年の3/15までに住む、または住む見込みが確実であること
  • 翌年の3/15までに取得した資金を全額住宅用の家屋の新築などに使うこと
  • 受贈者の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋を取得したものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
  • 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること

そこまで厳しい条件ではありませんが利用する際は確認が必要です。

 

制度の手続きに必要なものは?

制度を利用する際の手続きに必要なものがあります。
結果的に贈与税が0になる場合も確定申告が必要となるため注意が必要です。
手続きに必要な書類は以下のとおりです。

 

非課税枠の贈与を受けるときに必要な確定申告書
  • 贈与税の申告書 第一表
  • 贈与税の申告書 第一表の二

 

申告手続きに添付する書類
  • 戸籍の謄本
  • 住民票の写し
  • 新築や取得の契約書の写し、登記事項証明書
  • 個人番号カードなどの一定の本人確認書類の提示または写し

 

こちらの書類を用意し、納税地の税務署に届出する必要があります。

 

制度の背景として考えられること

この制度が施行された背景として、若年層の平均年収及び平均貯蓄の伸び悩みと住宅価格の上昇、消費税の増税により若年層は住宅を購入することがとても難しくなることが考えられます。
また親世代は平均貯蓄が高くなっており親から子へ資産をスムーズに移転させ、住宅市場を活性化させることで、景気の好転や維持に役立てる狙いがあると思われます。
子供の住宅購入を応援する親心を考えられた制度ですね、住宅購入を考えられている方にはメリットのある制度だと思います。

※当ブログの記事は執筆時の法律に従って書かれています。
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