2022.04.27 【相続発生時の手続きとタイムスケジュール】新潟の税理士がお送りするブログ
親族の方が亡くなられた際、様々な手続き、届出、申告がありますが、具体的に何があるのでしょうか。
今回は、亡くなられた後に行わなければならない各種手続きの話をしたいと思います。
相続が発生した際には、相続税の申告があるわけですが、その前に行わなければならない手続きや届出には期限があります。
それらを以下に紹介していきます。
【7日以内】死亡届の提出
立ち会った医師が作成する死亡診断書と死亡届は1枚の用紙になっており、死亡届は遺族が記入することになります。
それを死亡者の本籍地・死亡地、あるいは届出人の所在地の市町村役場に提出します。
届出人とは、死亡者の親族・同居人などで、葬儀社の代行も可能となっています。
届出の際には、届出人の印鑑が必要です。
【14日以内又は10日以内】受給権者死亡届(報告書)の提出
年金の受給権者死亡届は、国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内に年金事務所に提出しなければなりません。
ただし、マイナンバーが日本年金機構に収録されている場合は、年金受給権者死亡届(報告書)の提出を省略できます。
マイナンバーが日本年金機構で収録されていない場合は、死後も年金が支給され続けてしまう可能性があるため、すぐに手続きを行う必要があります。
同時に未支給年金・未支払給付金請求書も提出することになります。
年金受給資格は死亡した日に消滅しますが、支給は死亡した月の分まで支給されるので、2か月に一度の年金支給サイクルとの誤差で未払いになるケースもあるため、遺族がこれを請求することができます。
【14日以内】健康保険・介護保険資格喪失届の提出
死亡者が加入していた健康保険が国民健康保険の場合は、自治体によっては死亡届により手続きが行われることもありますが、そうでない場合は遺族が資格喪失届を提出する必要があります。
また、健康保険組合や協会けんぽの健康保険に加入していた場合は、事業主が手続きを行うことになります。
死亡者を被保険者としていた被扶養者がいる場合は、全員の健康保険証を事業主に返却し、被扶養者は国民健康保険への加入や他の家族の健康保険に加入する必要があります。
【14日以内】世帯主変更届の提出
世帯主変更届は15歳以上の遺族が2人以上いる場合に必要となります。
2人以上の内容ですが、次に世帯主となる人物が明瞭である場合や、世帯主にふさわしい人物がいない場合は届出は不要となります。
例えば夫婦2人で1世帯を形成していた場合、夫が亡くなった際は妻が世帯主になることが明確なので届出は必要ありません。
また15歳未満の子どもは、世帯主になることはできませんので、夫婦に15歳以下の子ども1人の家庭だった場合も届出は必要ないということです。
世帯主変更届を行うのは、必ずしも新世帯主である必要はなく、他の世帯員や知人・葬儀会社といった代理人でも行えます。
【3か月以内】遺言書の確認、相続人や相続財産の特定、相続放棄と限定承認
遺言書の有無は遺産分割に影響します。
自宅に自筆証書遺言がないか、最寄りの公証役場で公正証書遺言が作成されていないか、または法務局で自筆証書遺言が保管されていないかの確認が必要となります。
また誰が相続人となるか確認するため、死亡者である被相続人の出生まで戸籍上遡ることも必要になるでしょう。
被相続人の財産や負債を確認し、相続放棄や限定承認を選択する場合は、3か月以内に手続きが必要になります。
手続きは、被相続人(亡くなられた方)の最後の住所地を所轄する家庭裁判所に行います。
相続放棄とは
被相続人の財産を一切相続しないことを言います。
資産(プラスの財産)、負債(マイナスの財産)のすべてを放棄することになります。
限定承認とは
相続によって得たプラス財産の限度の範囲内で、被相続人の負債などのマイナスの財産を相続することをいいます。
【4か月以内】準確定申告
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得税についての確定申告です。
亡くなった人の代わりに、相続人全員が共同で確定申告を行います。
所得税の準確定申告は、死亡者が個人事業主であったり、年間2,000万円以上の給与収入があったり、不動産を売却したなど、一定の条件に当てはまる場合に相続人が代わりに申告する必要があります。
遺族が受け取った生命保険金や死後に売却した不動産による譲渡益などは、死亡者が得た収入ではないので準確定申告には関係ありません。 届出先は死亡者の住所地を管轄する税務署です。
【10か月以内】遺産分割、相続財産の名義変更、相続税の申告、納付
相続財産が確定した時点で、遺言書がある場合はその内容が優先されます。
遺言書がない場合はどのように分割するかを相続人間で協議し、遺産分割協議書を作成します。
まとまらない場合は、家庭裁判所へ申し立てることになります。
相続税の申告は、納税額はゼロであれば原則不要です。
ただし配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例を適用する場合には申告する必要となります。
表にまとめると
期限 | 手続き | 提出先 | 備考 |
---|---|---|---|
7日以内 | 死亡届 | 死亡者の本籍地・死亡地もしくは 届出人の所在地の市町村役場 |
|
10日以内(または14日以内) | 年金受給権者死亡届(報告書) 厚生年金:10日以内 国民年金(14日以内) |
年金事務所 | 未支給年金・未支払給付金請求書 |
14日以内 | 健康保険・介護保険資格喪失届 | 市町村国保:市町村 | 健康保険組合や協会けんぽの場合 事業主が提出 |
14日以内 | 世帯主変更届 | 市町村 | 15歳以上の遺族が 2人以上いる場合に提出 |
3か月以内 | 遺言書の確認 相続人や相続財産の特定 相続放棄と限定承認 |
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4か月以内 | 準確定申告 | 死亡者の住所地を 管轄する税務署 |
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10か月以内 | 遺産分割 相続財産の名義変更 相続税の申告、納付 |
以上のように、亡くなられた後にはやることが多く、時間がかかるものもあります。
いざこれだけのことに動くとなると、大変な時間と労力がいるだろうことが想像できます。
相続が発生することは、正直考えたくないですが、そのときに備えて情報を把握していくことは大切なことだと思います。
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