2016.11.11 【出向の際の社会保険の負担は?】新潟の税理士がお送りするブログ
中小企業でも会社規模が大きくなるとグループ法人間で人の交流や職務上の必要性から、出向、転籍といった人の異動を命じる必要が生まれることがあります。出向についての取り扱いについて相談を受ける機会がありましたので、その概略をご説明いたします。
そもそも出向について直接法律で規定したものはありませんが、一般的には大きく分けて2種類の形態があります。
出向の形態
在籍型出向
出向元(もともと所属の会社)に籍を残しつつ、出向先(新たな所属先)で新たな雇用関係が同時的に生じつつ出向先での指揮命令に服す形の勤続形態。一般的には出向元では休職扱いで、具体的な勤務は出向先で行う
移籍型出向(いわゆる転籍)
出向元との雇用関係を終了させ、出向先での新たな雇用契約のみとなる勤続形態
移籍型については、一般的な退職と就職と同じような雇用関係の動きとなりますので、社会保険については、グループ間での異動であっても一度出向元においては雇用関係を清算する形となり、出向先にて新たな雇用関係に基づく各種の手続きが必要となります。
在籍型出向の場合
一方で、在籍型出向の場合は、出向元との雇用関係は継続することから社会保険・労働保険それぞれが、移籍型出向とは異なる取扱いとなります。
労災保険
実際に労務を行う場所=出向先にて労災保険料を算定します(出向元からの報酬があればその金額は労災保険料の算定に含めます)
雇用保険
雇用保険は一つの雇用関係にのみ成立しますので主たる賃金を受ける事業所にて被保険者として扱うこととなります。出向元の報酬の負担額が大きい場合はそのまま雇用保険は引き続くこととなりますが、もし、出向先の報酬の負担額が大きい場合は、出向元での被保険者資格を喪失させ、出向先での被保険者資格を取得する必要が生じます。
社会保険
一般には、賃金を支払う事業所(出向元もしくは出向先のいずれかのケース)で被保険者として徴収されることとなりますが、賃金の支払いが出向元・出向先のどちらからも負担割合に応じて支払われる場合には「二以上事業所勤務届」等により必要な手続きを行います。
税務上の取り扱いについてはまたの機会にご案内できればと思います。
※当ブログの記事は執筆時の法律に従って書かれています。
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