2021.01.15 【従業員に健康診断を受診させていますか?】新潟の税理士がお送りするブログ
この記事はヒューマン・プロ社会保険労務士事務所から寄稿されました。
労働安全衛生法により、事業主は労働者に対して健康診断を受けさせる義務があります。
同じく、労働者は事業主が行う健康診断を受けなければならないとあり、従業員の健康診断は絶対に必要です。
労働契約法の中でも、「労働者が安全で健康に働くことができるよう必要な配慮をする」とあるからです。
健康診断の対象者は?
人を雇った場合に健康診断受診要件に該当する人には、健康診断を受けさせなくてはなりません。
正社員はもちろん、契約期間が1年以上(1年以上の見込みも含む)、かつ週所定労働時間が正社員の4分の3以上労働する契約社員やパート労働者も該当します。
個人事業でも大企業でも違いはありません。
健康診断の種類とは?
労働者の健康を守るため会社で実施の義務がある健康診断が複数あることはご存じですか?
勤務時間は同じでも、労働内容によって健康診断の種類がことなります。
健康診断の例
1.定期健康診断
常時使用する労働者に対して、事業者は1年に1回受診することがさだめられています。
2.雇用時の健康診断
事業者は常時使用する労働者を雇入れるとき、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならなりません。雇用の前後3ヶ月以内に受診させるのが適切です。
3.特定業務従事者の健康診断
深夜に働く人や危険な業務に携わる人は「特定業務従事者」に該当します。
この場合、一般的な健康診断ではなく、「特定業務従事者の健康診断」を受けさせる必要があることに注意が必要です。
※ここでいう「常時使用する労働者」とは、上記に述べた対象者のことをいいます。
その他、健康診断の種類や項目は以下のリンクを参考にしてください。
健康診断後のフォローも大切です!!
健康診断結果が送られてからのフォローも事業者側にとっては重要なことの1つです。
健康診断結果に異常が見られた場合、産業医へ意見聴取し、働き方に配慮したり休暇などをすすめることも必要となります。
産業医がいない小さな会社では、地域の産業保健センターなどで産業医にチェックしてもらうのと同様に意見を聴取、最終的な事後措置を決定し実施するというのが、健康診断に関する安全配慮の仕組みとなります。
健康診断をやっておけばOKではなく、正しく結果を通知し、必要な方には事後措置を講ずるところも義務であるということです。
罰則付きの義務
会社で実施される健康診断の結果には「労働者がその職務に従事できる」ことを説明する役割もあります。
特別な事情がない限り、健康診断要件を満たす労働者は全員受診しなくてはなりません。
もし拒否する労働者がいる場合、事業者側は職務上の命令として命じることが可能です。
また、未受診のまま会社がいずれかのアクションもかけずに結果その従業員に健康被害が出た場合、会社は「安全配慮義務違反」という責任を負ってしまう場合もあります。 必ず受診するよう促しましょう。
健康診断実施は事業主側の義務ですが、労働者にも「自己保健義務」があります。会社が行う健康管理への措置や配慮に対して協力することが求められています。 従業員の安全は会社の努力のみで達成されるものではありません。
受けさせないと、違法行為となってしまいます!!
違法行為とみなされた場合、労働基準監督署から指導が入り、さらに無視を続けると50万円以下の罰金を支払わなければなりません。そのため、労働者には健康診断を絶対に受けてもらいましょう。
労災事故があったときに健康診断を受けさせていなかった事実が判明した場合、送検される可能性が高くなります。
実際に送検されたケースもあります。
健康診断結果の保管義務
健康診断の実施義務があるように、健康診断結果の取扱いにも決まりがあります。
会社には健康診断実施義務がありますが、労働者にも健康診断を受け、結果を会社に提出しなければなりせん。
会社側には健康診断の結果は5年間保管しなくてはならないという義務があります。
保管しなければならない健康診断の結果の種類も決められており、人間ドックやがん検診など法定項目以外の結果についての保管義務はありません。
健康診断の結果が漏洩した場合、罰金だけでなく6ヶ月以下の懲役を科される場合もあります。
健康診断は従業員を一人でも雇えば発生する、知らないでは済まされない企業側の重大な義務の一つです。
注意点やポイントを正しく理解したうえで適切に行う必要があります。
健康診断は適切に行いましょう。
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