2021.07.26 【試算表についてとその利用される場面の例】新潟の税理士がお送りするブログ
試算表という表をご存じでしょうか?
会社の経営者、個人事業主の方は見たことがある方も多いかと思います。
試算表は、各取引の仕訳をしている仕訳帳からすべてを記載されている総勘定元帳への転記が正確にされているかの検証のために作成される集計表のことです。
決算書を作成する前段階で作成されます。
試算表と決算書では、記載されている科目が多少異なります。
試算表は決算書よりも細かい勘定科目を設定していることが多いのですが、決算書は法律・ルールに従うため、勘定科目が名称変更されたり集約化されたりします。なお、決算書には資産や負債などをまとめた貸借対照表(財産や借入金等の状況がわかる表)と売上や経費などをまとめた損益計算書(儲けの状況がわかる表)があります。
会計ソフトを利用した試算表については、貸借対照表や損益計算書に分かれた試算表が作成されることがほとんどです。
試算表は決算書の作成以外に経営状況の把握・改善の指標や資金繰りのチェック機能としても活用でき、金融機関から返済能力等の把握のために提出を求められる場合もあります。
⑴決算書の作成
試算表は毎月や毎年などの任意の一定期間で作成しますが、その一定期間の資産や負債、売上や経費、利益などが記載され、一年間の試算表から決算書を作成することができます。
⑵経営改善
試算表から様々な経営分析の指標となる数値を導くことが可能であり、その数値を用いて経営状態や財務状況を確認することができます。自社の経営状態を確認することで、経営戦略の作成や改善などに役立てることができるわけです。
分析に用いる数値について代表的なものとして総資産利益率(ROA)があります。
ROAを高めることは、より少ない資産でより多くの利益を稼げるようになることを意味します。
ROAは2つの要素からできていて、①資産を活用して得た売上高がどれだけあるかを表す「総資産回転率」と、②売上高に占める利益の割合を表す「売上高利益率」です。
総資産利益率は、
売上高÷総資産
で求められ、
売上高利益率は、
(営業利益+受取利息・受取配当金)÷ 売上高
で求められます。
この2つから、ROAが高い・低い要因が貸借対照表にあるのか、損益計算書にあるのか把握することができます。
総資産回転率が低い場合は、在庫を減らしたり、不要な固定資産を処分するなどの対処法があり、また、売上高利益率が低い場合は、販管費を下げたり、売上原価を下げるなどの対処法があります。
⑶金融機関
銀行などの金融機関では、融資の申し込みがあると、試算表から企業の経営状況などを確認し、融資の可否や融資金額などを決定することがあります。試算表は毎月作成することが多いため、最新の企業の経営状況が把握できます。
銀行では、金融機関からの借入金の利息の支払いもすべて引いた上での利益「経常利益」がどれだけ利息を払う余力があるのかをみる指標になります。
また、支払能力があるのかを判断するのに流動比率と固定比率があります。 流動比率は
流動資産÷流動負債
で求められます。
1年以内に返済すべきお金を流動資産で賄えているのかを表しており、数値が高いほど賄えていることを表しています。
また、固定比率は
固定資産÷自己資本
で求められます。
固定資産を取得するためのお金をどれだけ自己資本で賄っていけるかを図る指標で、数値が低いほど借入金なしで固定資産を取得可能ということを表しています。
今後も経営継続が可能かどうか判断する一つの見方になります。
試算表には様々な情報が含まれているため、今必要な情報は何か適切に判断して、利用していきましょう。
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